底版傾斜型魚道形式

分野

河川(河川構造物)

概要

 魚道設計においては、魚類の遡上(のぼりやすさ)・降下(おりやすさ)と生息環境(すみやすさ)という視点で施設を計画することが重要です。また、維持管理の面では土砂が魚道内にたまらず、自然に流されていく「自然排砂機能」を備えていることが大切です。
 しかし、既存魚道では、時として渇水期の越流水不足や越流水の剥離による遡上障害や、プール内堆砂による機能障害といった課題が見受けられます。
 当社では、これらの課題を解決すべく、全国的にも事例の少ない自然石を用いた河川全断面方式の「底版傾斜型魚道形式」を提案しています。

①単一落差:17cm(低落差)、魚道勾配:1/12(緩勾配)
  ⇒多種多様な魚類がスムーズに遡上
②魚道横断方向端部の落差が小さい
  ⇒底生魚・小型魚および甲殻類の遡上容易
③隔壁の天端形状が曲線形
  ⇒流水の剥離による遡上障害が生じない
④豊水・平水・低水・渇水に対応する高さの隔壁設置
  ⇒遡上経路の選択性および遡上性能の向上
⑤中央部隔壁高:小、底版を横断的に傾斜
  ⇒流水を中央に寄せて自然排砂を促進
⑥魚道左右岸に自然石を空積み(アンカー固定)
  ⇒土砂堆積→長期的には植生の繁茂
  ⇒魚類の生息場、越冬場などとしても機能
⑦縦断方向の中間部にプール設置
  ⇒魚類の休息が可能
  ⇒豊水時の減勢池として機能